2013年11月6日水曜日

I DON'T WANT CHEAP ONE! 高機能化する低価格3Dプリンター

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photo credit: matsuyuki via photopin cc

雨後の筍のようとさえ言われたRepRap系3Dプリンターのブームですが、いまだに新機種の発表が止まりません。一時期は似たり寄ったりの機種があふれたあげく、早くも低価格競争の様子で、個人的に興味が薄れてしまっていたのですが、ここにきて少し風向きが変わってきたようです。



どれだけ安くできるかは重要です。200〜400ドルの価格帯まで下がったのは良い事だと思います。しかし、構成が少々異なるだけで機能的に代わり映えがしない(あるいは低い)と魅力が感じられないのも事実です。(もちろん低価格機にも魅力的なモデルはあります。無線LAN接続、H-bot、美しいデザインがすばらしいバッカニアとか、徹底したDIY指向のPrintrbotとか)

一方、RepRap系の3Dプリンターが普及するにつれて、現行機種の問題点も明らかになってきました。造形物の反りや歪み、粗い解像度、少ない対応素材、長い造形時間、一般家電製品と比べ低い信頼性などなどです。これらはReplicatorをはじめとする初期のFDM系3Dプリンターに共通の悩みだと思います。

しかしここ最近、こうした問題点に挑戦するような高機能な3Dプリンターが登場してきました。価格帯は高めの物が多いのですが、それだけに魅力的な性能を備えているようです。

Helix 3D Printer

Helix

Acuity Designのウェブサイトより

見た目のデザインは少し好みでないのですが、このプリンターの面白いところは機械的なデザインです。通常のプリンターはタイミングベルトによる送り機構を採用する事が多いのですが、このプリンターは送りネジを使用しているのです。

この機構のおかげで、Helixは高精度な位置決めができ、精度の良い造形が可能になっています。Replicator2で造形すると、意外と垂直の壁が乱れる事があるのですが、Helixの造形サンプルは確かにぴしっとした奇麗な積層になっています。単純な積層解像度には現れないのですが、重要な改善ですね。

また、精度だけでなく0.1mm積層時に200mm/sと高速な造形速度(最大350mm/s!)を実現しています。Replicator2は150mm/sが現在の実用域になります。(過減速があるので、単純に造形が倍のスピードになる訳ではないですが)

30cm四方を超える大型の造形サイズと、全金属製のホットエンドでABS、PLA以外にもHIPS(高衝撃ポリスチレン)、ナイロン、PETT(ペット樹脂)、ポリカーボネートに公式に対応しています。ポリカーボネートは特に、従来のホットエンドでは温度の問題で造形できない素材です。

(HIPSやPETTは使用経験が無いのではっきりとは分かりませんが、温度的には従来のプリンターでも造形できそうです)

Bot Object Pro Desk 3D

総花的なスペック発表で、一時はペーパーウェア疑惑まであった3Dプリンターです。(正直に言うと私も疑っていました。ごめんなさい)最大の売りは「フルカラー」で出力できる事で、5色のフィラメントを使用してカラーで造形できます。ただし、出力サンプルを見る限り、積層しながら色を変える事ができる程度で、自由に色を配置できる訳では無さそうです。

むしろ、30cm四方に近い大きな造形サイズと、0.025mmの最大解像度、175mm/sの造形速度が気になりますね。0.025mmの積層解像度は光造形のForm1と同等です。(ただし、細かなディテールの造形能力が同等かまではわかりません。FDM系は高解像度では樹脂が糸を引いたり、造形が荒れる傾向があるので…)出力サンプルの仕上げ面が奇麗なのも好印象です。

Robox

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CELのウェブサイトより

英国CELの3Dプリンターです。$1,399と比較的低価格ですが、野心的な機能を多数備えています。まずは対応する素材の種類。標準的なPLAとABSの他、HIPS(高衝撃ポリスチレン)、ナイロン、ポリカーボネートに対応しています。

ポリカーボネートはiPhoneに使用される等、強靭な事で有名ですが、高温に耐えるホットエンドを必要とするため、 通常のRepRap系プリンターでは扱えない素材です。ただし、ナイロンは反りが激しいので、そこにどう対応しているのか造形サンプルを見てみたいですね。

そして、もっとも魅力的なのが造形中の異常検知機能です。RepRap系の3Dプリンターはフィラメントのスリップやノズル詰まりで造形不良を起こす事がしばしばありますが、Roboxはフィラメントの送り異常を検知して造形を途中停止する機能があるのです。今までのRepRap機は吐出不良になろうがおかまいなしで造形を続けるため、長時間印刷で失敗するといろいろとダメージが大きいのですが(最後の10分で10時間の造形がおじゃん、がありうる)、Roboxは異常停止後、問題を取り除くと途中から印刷を再開してくれます。これは信頼性を大きく向上させる重要な改善です。

その他にも大口径ノズルとのデュアルヘッドによる造形速度の向上、プラットフォームの自動レベル機能、0.02mmの最大積層解像度、密閉式の筐体、魅力的なデザインを備えており、造形サイズが小さめながら魅力的なモデルになっています。

 

ちなみに、個人的には、この種の高性能を追求した3DプリンターはKhuling KhulingのRepRap Industrialがはしりだと勝手に思っています。50万近くする高額なプリンターですが、RepRapを名乗る通り3Dプリントされたパーツで構成されてた面白いプリンターです。タッチパネルの操作系、加温式の造形チャンバーのほか、半自動レベリング造形テーブル、大口径のノズルを備えたデュアルヘッド、高温に耐える金属製ホットエンドなどの面白い機能盛りだくさんです。

(Via.)

Acuity Design - Helix 3D Printer

Bot Object - Pro Desk 3D Printer

CEL - Robox

(Robox、機構設計的にはPortabee等に近いようですね。おもしろい)

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