2013年10月21日月曜日

CNCミルをデザインする - 主軸のデザイン(1)「切削抵抗」

一見似たような構造の3DプリンターとCNCミルですが、ネットで調べていると、CNCミルは「剛性」というキーワードによく言及されています。これは、3Dプリンターではあまり聞かないキーワードです。

1. 3DプリンターとCNCミルの違い

「剛性」とはつまり頑丈さのことです。実は、加算式と減算式、という加工方法の違いのためにCNCミルは3Dプリンターに比べて頑丈に作る必要があるのです。



RepRap系の3Dプリンターは溶けた樹脂を積層するため、造形中にほとんどエクストルーダーに力がかかりません。一方、CNCミルは刃物で素材を切削するため、造形中に大きな力が発生します。大きな力がかかっても歪まない(=加工精度を出す事ができる)ように、頑丈な構造が必要です。

この力を切削抵抗と呼びます。

2. 切削抵抗

切削抵抗は素材が削られるのに抵抗する力ですから、一度に削り取る素材の量と素材の強度で決まります。

切削抵抗の3要素

切削抵抗の3要素

切削抵抗は送り方向に発生する送り分力、主分力(≒刃の抵抗)、背分力の3成分からなりますが、主分力を求める事で3成分とも求める事ができます。「主分力≒送り分力」であり、「背分力≒0.1×主分力」になるためです。主分力は以下の式で求めます。

主分力=1刃あたり送り×切り込み深さ×比切削抵抗

1刃あたり送りは、エンドミルの刃が削り取る素材の厚みです。切り込み深さと掛ける事で削り取る素材(=切くず)の最大断面積を求める事ができます。比切削抵抗は面積あたりの切削抵抗ですので、これと切り屑の断面積を掛ければ切削抵抗の主分力が求まります。

主分力

1刃あたり送り

比切削抵抗は工作機械向け刃物メーカーのウェブサイトで調べる事ができます。ちなみに1刃あたり送りが小さくなる(切り屑が薄くなる)ほど比切削抵抗は大きくなります。これは微量であればあるほど材料に含まれる欠陥が少なくなり、材料の理論上の最大強度に近づくため、だそうです。

樹脂関係の比切削抵抗はウェブ上ではあまり見当たりませんが金属の1/10といったレベルなので問題にならないのでしょう。

3. 主軸のデザイン

産業用の工作機械であれば溶接構造や鋳造品を利用する事で頑丈に作る事ができますが、DIYでは限界があります。特に今回は3Dプリント部品(PLA樹脂)を使おうとしていますので切削抵抗はなるべく小さくしたいと思います。

加工素材として想定しているアルミや真鍮の比切削抵抗は鉄や鋼系素材に比べて小さいですが、それでも削り屑を薄く(1刃あたり送りを小さく)することで切削抵抗を抑える必要があります。

1刃あたり送りの定義は次の式になります。従って、1刃あたり送りを小さくするためには送り速度を落とすか、主軸回転数と刃数を大きくすることになります。送り速度の低下は加工時間の増大を意味しますので、基本的には主軸回転数を上げることを検討します。

1刃あたり送り=送り速度(mm/min)/ 主軸回転数(min^-1) × 刃数

と言う訳で、CNCミルは3Dプリンターよりも頑丈さに注意しなければならないこと、必要な頑丈さを減らすためには主軸回転数を上げて切削抵抗を低くすることが必要なようです。

(Ref.)

熱硬化性樹脂の切削加工について
樹脂素材の比切削抵抗について記載がある

「フライス加工」基礎のきそ
フライス盤の操作、切削理論の解説書

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