2013年9月11日水曜日

メイカーがリーチできる加工技術

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photo credit: austinevan via photopin cc
個人によるものづくりとして3Dプリンターが注目を浴びていますが、ものづくりは3Dプリンターだけじゃないという話もちらほら聞きます。実際のところ、ものづくりにはどんな技術があって、どの程度個人がリーチできるものなのでしょうか。
というわけで個人で扱える、あるいは個人対応してくれる外注業者がある加工方法をまとめてみました。


1. 金属材料系
a. 鋳造
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金属を高温で溶かして型に流し込み、取り出す方法です。有名な例で言うと奈良の大仏でしょうか… 複雑な形状を作り出せるため、車のエンジンの製造など盛んに使われています。
高温で溶けた金属を扱うため、素人にはとても手が終えないと思っていたのですが、低温(232℃、3Dプリント用の樹脂と同じ位です)で熔解するスズ系合金(ピューター)を使って工芸品を作っておられる方のサイトを見つけました。大変参考になります。
また、個人向けに金銀などの素材でジュエリーの鋳造を請け負ってくれる外注業者もあるようです。
ちなみに個人鋳造ではアルミ(融点660℃)を扱っている例も見かけますが、見る限り専門知識を持っている工学系の出身者が実施しているようです。指導者なしで実施するのは危険そうですね。
(Ref.)
自分で鋳造機を作ろう!
シルバーアクセサリの鋳造をされている方のブログ 
b. 鍛造
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熱を900度〜1000度ぐらいまで加熱して柔らかくし、ハンマーで叩いて成形する加工方法です。日本刀の作成方法ですね。
空き缶に耐火モルタルを塗付けて、ガスバーナーを差し込むことで炉にする方法がMAKE誌でも紹介されていましたね。
(Ref. )
Blacksmithing 101: How to Make a Forge and Start Hammering Metal
(英語/炉の作り方と鍛造の始め方 )
c. 熱処理
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金属(おもに鋼鉄)を加熱する事で硬さなどを調整する処理です。主に強度や固さが必要な部材に行います。
ナイフの自作趣味の世界では一般的? なようです。天ぷら油で加熱したり、バーナーで吹いたり、バーベキューのたき火で加熱したりと皆さん色々工夫しておられる様子。熱処理は加熱する温度や冷却速度で結果が全く変わってくるはずですが、荒っぽい方法でも意外と大丈夫なんですね。
また、自作ナイフ向けに熱処理を受けてくれる外注業者さんもあるようです。刃物以外のものも扱ってくれるかは不明ですが。
2. 樹脂系
a. レジンキャスト
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薬剤を混ぜると硬化する樹脂を、型に注ぎ込んで形状を取り出す方法です。フィギュアやガレージキットの制作で一般的なのでご存知の方も多いと思います。材料は東急ハンズなどでも売っており、入手性は良いのですが、気泡の混入や充填不良、寸法精度など難しい面もあるようです。
型の作成方法は、粘土などで手作り、3Dプリントによる出力、CNCミルによる切削と多様です。
b. 射出成形
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プラスチック製品のもっとも一般的な製造方法です。金型に溶けた樹脂を圧入して成形する製造技術です。射出成形機というと産業用のものを連想しますが、実は個人向けの手押し射出成形機というのが存在します。
当然ながら金型が必要ですので、別途CNC加工機などで切削してやる必要があります。日本国内では手押し射出成形機を使っている例は見当たりませんでした。
外注業者で金型制作と射出成形を個人向けに対応してくれるところもあります。金型を制作するので総額はかなり高価になりますが、数百個以上制作するのであれば1個あたりの費用は安価になります。
3. 加工系
a. 切削加工
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刃物で素材を削って形を作る加工技術です。大きく分けて素材を回転させて削る旋盤加工と刃物を回転させて削るミーリング(フライス)加工の2種類があります。昔からある加工技術ですが、加工できる形状の制約が大きい、騒音、切粉が出るなど扱いにくい面もあります。
汎用(手動操作)の卓上旋盤・ミルは操作が必要ですが鋼材加工も可能なパワーがあります。また、旋盤は卓上CNC機をあまり見かけないので汎用機が候補になるでしょう。
CNC(コンピュータ制御)ミルは3Dプリンターと同様に3Dデータから切削することができます。ローランドのiModelaやORIGINAL MINDのKit Millが日本国内で有名なほか、国内海外含めて自作している事例も多くあります。一方で切削できる素材は樹脂や木材か、真鍮やアルミ等の軽合金までのことが多いようです。
c. レーザーカット
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実は、卓上タイプのレーザー加工機が一番強力なデジタル工作機械かもしれません。板材のカットといった2次元の加工しかできませんが、寸法精度が良好で、微細な加工ができ、加工速度も高速なためFabLabでも人気があるようです。
一方で、材料切断時に煙が出るため排気経路を取り回す必要があります。また、費用が高いのが難点です(最も安価なもので20万ほど、一般的な加工機は100万程度)。また、比較的低価格のCO2レーザーを使うタイプのモデルは金属の切断はできないなど、扱える素材に制約があります。
d. プレス・板金
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プレス加工も一般的な加工方法の一つです。薄い鋼板などを折り曲げて加工します。自動車産業などでは金型をつかったプレス加工が一般的(自動車の外板とか)ですが、個人レベルで扱えるものとしては手押し式のプレス機があります。金型を使わず、刃で折り曲げや切断をするタイプですが、意外と複雑な加工ができるようです。
4. 溶接
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photo credit: Daniel Y. Go via photopin cc
金属部品を溶かして接着する方法です。最近は趣味の溶接というのもあるようで、ホームセンターで溶接機を購入する事ができます。
基本的に手作業で習熟が必要ですが、場所さえあれば大きなものでも扱えます。最初は教室やホームセンターの講座で基礎を学ぶのがよいとのこと。
溶接人
日曜溶接向けのポータルサイト 
5. 表面処理系
錆の防止、表面強度の向上、円滑性の付与、着色など様々な目的で部品の表面を被覆する事を表面処理と呼びます。
a. メッキ処理
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外観を美しくしたり、耐久性を持たせる目的で金属の表面を別の金属で被覆する表面処理です。金メッキとかクロムメッキが有名でしょう。外注業者に依頼する事ができます。大変込み合っているようですが…
b. アルマイト加工
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アルミ製品の表面処理に用いられます。耐食性が向上するほか染料を使って着色する事ができます。基本的には外注業者に依頼する必要がありますが、おどろいた事に個人用のアルマイト加工キットが存在しています。
というわけで、ごく一部ですが加工技術についてまとめてみました。思った以上に様々な加工が可能で、調べてびっくりです。全ての加工を自分でできるようになるのは難しいでしょうが、ワクワクしますね。

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