2013年3月1日金曜日

デジファブしてみる - マスキングテープカッターの改良

前回、3時間ほどで制作できたマステカッターですが散々な評価を受けて没になってしまいました。しかし試作と改良の繰り返しは製品開発(したことないけど)の常、めげずに改良を図ります。

IMG 2581



 1. 感想を試用者から聞き取る

IMG 2531

一番最初の試作品。散々な評価だった

まずは使用感を聞いて問題点を洗い出します。実際に試用してもらったことで、具体的な感想や改善の要望を貰う事ができました。出てきた問題点はこんな感じです。

No.

問題点

説明

1.

カッターの刃が切れにくい

テープを切るとき力が必要。きちんと押さえないとテープがすべる

2.

机上に置いた時不安定

机の上において使おうとすると平らな面が無いため、不安定で使いにくい

3.

テープを押さえにくい

芯が細いため、遊びが大きすぎてテープを押さえにくい

4.

使っていると分解する

力を変に加えると左右のパーツが外れてしまう

5.

かわいくない

返す言葉が無い

2. デザインに反映する

問題点を洗い出したら対策を考えます。どうやら「持ちにくい/置きにくい」「テープを押さえにくい」というのが問題のようなので、「カッターを可能な限り小さくしテープそのままの使用感を目指す」案と、「大きくして机に安定して置けるようにする」案の2つの方向性で考えてみます。

2-1. 「カッターを可能な限り小さくしテープそのままの使用感を目指す」案

Idea1

穴空きの芯と刃のみのミニマルなデザインです。芯に人差し指をいれ、親指でテープを押さえて固定する使い方。

No.

問題点

対策

2.

机上に置いた時不安定

持って使う

5.

かわいくない

とことんシンプルにしてみます

2-2. 「大きくして机に安定して置けるようにする」案

Idea2

大きくして机の上に安定して置けるようにします。ただの立方体だと面白くないので、CDドライブにディスクを入れかけたようなデザインにしてみます。

No.

問題点

対策

2.

机上に置いた時不安定

立方体ベースのデザインにし、サイズも大きくして安定して置けるようにします

5.

かわいくない

セットしかけのディスクをイメージしてみる

2-3. 共通の対策

 その他、2つの案に共通の対策です。

No.

問題点

対策

1.

カッターの刃が切れにくい

形状を工夫する(刃先の角度、サイズ)。印刷解像度を上げる

3.

テープを押さえにくい

芯を太くして1mm程度まで遊びを減らす

4.

使っていると分解する

オスとメスのはめ合わせ部の遊びを0.4mmから0.3mmに減らし、ツメを長くする

2つの案を見せて意見を聞きます。個人的には「カッターを最小にしてテープそのままの使用感を目指す」案が面白いと思っていたのですが…

面白い事に、紙芯に指を通して持つような使い方はしない、と言われました。マステでも人によって使い方が違うんですねー 指を通さずに使わないとなると、このデザインはどうしても持ちにくくなりそうです。テープそのままと言いつつ、気づかないうちに自分の使い方に限定して考えていたことに気づいてちょっと反省です。

結果、机の上において使う事が多いようなので「大きくして机に安定して置けるようにする」案で進める事にしました。

4. 3D モデルを作成する

早速123Dでモデリングします。前回のモデルの寸法を参考にしつつ、一からモデルを起こします。

Sletch cutter

マステカッターの刃先も角度を急(45度→60度)にしてやります。印刷時に下ダレしないかちょっと心配ですが。

スクリーンショット 2013 02 24 0 56 25

持ちやすさを考えて、両側面をくぼませたモデルを作成したのですが、この場合3Dプリント時にサポートが必要になってしまいます。サポート除去の手間を考えて最終的に両側面は平面にしました。

5. 出力して修正して出力して…

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0.2mm積層(外側0.1mm)、100% infillで印刷。奇麗な質感ですが時間がかかりすぎます

データができたら印刷です。Thigiverseで入手できるReplicator2用の200ミクロン印刷プロファイルを適用してReplicatorGで印刷しました。このプロファイルで印刷すると、表面0.1mm積層で内部を0.2mm積層するという速度と品質の良いとこ取りができてしまいます。

しかし、それでも印刷に2時間以上かかる上に、0.1mm積層でもカッターの切れ味に劇的な改善は見られませんでした。

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0.27mm積層、10% infill。右上の切り欠きの天井部分が下ダレしている

今度はMakerwareから0.27mm積層で印刷します。フィラメントもPLA白に変更。テープをはがしやすいよう切り欠きを追加します。切れ味はいまいちですが、0.1mm積層とくらべてそれほど悪くはありません。印刷時間は55分まで短縮します。

IMG 2588

中程の大きいカッターは印刷テーブル保護用のマステ用に作成してみました

その後、マスキングテープがよく見えるようにデザインを少し修正したり、刃先の形状をいろいろ試行錯誤していくつも印刷しました。刃先の切れ味は正直なところ、どれも五十歩百歩というところです。約1mm間隔の細かい刃先で、先端が0.27mmの積層1層分になるようにしたものが比較的良好な切れ味だったため、それを最終デザインにしています。

6. 完成

IMG 2584

というわけでこちらが今のところの最終版です。最初のものと比べると原形をとどめていないですね(笑)

No.

問題点

結果

1.

カッターの刃が切れにくい

一応切れる。角度によってはすべることも

2.

机上に置いた時不安定

安定して使える

3.

テープを押さえにくい

芯を太くし遊びを減らした。テープががたがたしなくなった

4.

使っていると分解する

はめ合わせ部の遊びを0.4mmから0.3mmに減らし、ツメ(と相手の穴)の高さを上げた。

試用中に意図せず外れることはなかった

5.

かわいくない

がんばりました

こうして使ってみると、やはり3Dプリンターはすごいです。ちょっとデザインを修正したらひょいひょい試作品が作れてしまいます。他の方法では、とてもではないですが作ってみようとは思わなかったでしょう。このフットワークの軽さはとても素敵です。

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