2013年2月12日火曜日

Replicator2の評判は意外と良くない?

Rep2

Makerbot Replicator2

華々しく登場したMakerbot IndustryのReplicator2ですが、発売から数ヶ月経ち導入したユーザーからいろいろな声が聞こえてきました。好意的な評価も多いですが、実は不満の声も結構あります。日本でも購入を検討している方も多いと思いますので、海外フォーラムMakerbot Operatorsで見かけた話題を紹介しましょう。



 1. フィラメント送り機構

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印刷ヘッド部(エクストルーダー)。ヒートシンクの後ろ、モーターと黒いプラスチックの部分にフィラメントの送り機構がある

一番批判されているのがこのフィラメント送り機構かもしれません。純正のフィラメント送り機構はプランジャーによってフィラメントをモーターのギアに押し付け、掴む事でヒーター部へ送り込みます。ところが、この送り機構には問題がある事が分かってきました。

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純正のフィラメント送り機構。左側のプランジャーでフィラメントをモーターのギアにかみ込ませ、モーターが回転して印刷ノズルに送り込む

問題とはプランジャーが緩みやすいこと。プランジャーが緩むと十分な量のフィラメントがノズルに供給されず、ノズルから印刷されるプラスチックが細くなってしまいます。プラスチックが細くなると、下の層とくっ付かなかったり、カールしてノズルと絡まりダマを作ってしまい、最後には印刷が止まってしまいます(実体験)。プランジャーを六角レンチで締めてやれば治るのですが、印刷ヘッドを一部分解する必要があります。

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失敗した印刷。レイヤー同士がくっ付かずバラバラで、ダマだらけになっている。

ところがここで終わらないのが3Dプリンターの面白いところです。この欠陥を解決するべく、フィラメント送り機構の改良版がユーザーによって開発されました。CADデータと部品表、組み立て方法の説明がThingiverseで公開され、大好評のようです。各ユーザーが自分で改良型を印刷して、組み立てているんですね。

H25.3.3追記:このバネ式エクストルーダーの改良型がMakerbotから正式にReplicator2用のアップグレードキットとして発表されました。改良型のデザインはThingiverseで公開されており、印刷できないバネやネジ類のセットは$8でMakerbotが販売しています。

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whpthomas氏によってThingiverseに公開された改良型のフィラメント送り機構。Photo by whpthomas

改良版のフィラメント送り機構は、フィラメントを下の写真のように押さえ込むため、プランジャー方式のように使い込むに従って緩んでくる恐れがありません。印刷の失敗が劇的に減少するという評判です。

Replicator 2 Extruder Upgrade 02 display large

送り機構の構造。バネの力を梃を介して利用している。たしかにこの方法なら緩む心配は無い。Photo by whpthomas

わたしも近く導入しようと思っています。そのためには日本国内で入手可能なバネやベアリングを探さないといけないのですが…

なお、MakerbotのReplicator2Xはこちらに似た方式の新型送り機構を採用しているという噂です。Replicator2も出荷中のものからアップグレードしてほしいですね。

2. 出力テーブル

Replicator2の出力テーブルは分厚いのアクリル製の一枚板ですが、これに対する不満もよく見かけます。

美しい透明な印刷テーブルですが、印刷したPLAが容赦なくくっ付きます。私も印刷したPLAがくっ付いて悲惨なことになったため、マイナスドライバーの先でゴリゴリ削りました。Makerbotのサポートからは同梱のマスキングテープを貼付けて印刷してくれとの事。

もっと深刻なのは印刷テーブルの歪みです。モノによって品質にばらつきがあるらしく、フォーラムではテーブルの中央と端で0.5mmも高さが違う! という怒りの声も聞こえてきました。小さい物をテーブル中央で印刷するときには問題になりませんが、テーブル全体を使うような印刷を行おうとすると問題です。

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印刷テーブルの外側がやや下に垂れる傾向があるようです。私のテーブルはあたりなのか特に問題を感じません。ガラステーブルは買わなくても良いかな?

わたしの印刷テーブルにも少々歪みがあります。おそらく0.05〜0.1mmほど端が中央より低い様子です。大きな物は殆ど印刷していませんが、いまのところ特に問題は起きていません。

この問題については、純正のテーブルの代わりにガラス製のテーブルを使う方法が話題になっています。近所のガラス屋さんで、8mm厚程度の板ガラスをテーブルサイズにカットしてもらって使用するとの事。プラスチックに比べてガラスの方が平面度が良好なため、印刷失敗が少なくなるようです。

3. Makerware

使いやすいインターフェイスと高速なGCode生成エンジンを備えるMakerwareですが、旧来から使用されているReplicatorGに戻ったという話を良く聞きます。ReplicatorGで生成したGCodeの方が印刷品質が良いという事のようですが…

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ReplicatorGの画面。Makerwareが登場したにもかかわらず人気が高い

私もReplicatorGを導入して試用中です。しかし、なにも調整していない状態ですとReplicatorGがMakerwareよりも印刷状態が優れるという実感は今のところありません。また、MakerwareのGCode生成エンジンは本当に高速です。ReplicatorGが20〜30分かけて生成するGCodeをMakerwareは5分とかからず生成してくれます。

ただ、Makerwareには明確な問題があります。Makerwareでサポート生成をすると印刷物が埋没するほどのガチガチのサポートが生成されるため、サポートの取り外しが大変なのです。とくにこれのような中空の構造をもつ印刷物では致命的で、内部のサポートが除去できません。

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左がReplicatorGで生成したサポート。量も最低限でペンチで比較的容易にむしり取れる。右がMakerwareで生成されたサポート。印刷物が埋没してしまっている上に頑丈で除去困難だった

一方、ReplicatorGは最低限のサポートしか生成しないため取り外しが非常に容易です。強度的にも最小限なので除去自体もかなり楽でした。

4. 結局Replicator2ってどうなの?

Replicator2は「箱から取り出してすぐに使える」というレベルにはまだ少し足りないようです。ただ、ローエンド3Dプリンターはまだまだ使いこなすのに試行錯誤が必要な機械で、Replicator2が特別だと言う訳ではありません。あてになるサポートやユーザーグループがあることを考えればマイナーな他の3Dプリンターより良い選択肢だと言えます。

今回はReplicator2への不満について紹介しましたが、私自身はReplicator2をとても気に入っています。最初は故障もあって苦労しましたが、だんだんと安定して印刷できるようになってきました。データを立体出力できる機械というのはとてもエキサイティングです。何を作ろうかと考えていると本当にワクワクしますよ。

(Ref.)

Makerbot Operators
Makerbotのユーザーによるフォーラム。上で紹介したガラステーブルや改良型フィラメント送り機構等、ユーザーによる情報交換やテクニックの紹介が盛んです(英語)

Hand on with the Makerbot Replicator2 - 3D Printing Industry
プロの技術者Jason Lopes氏によるReplicator2の導入記事。ReplicatorGに変えたとか、安定して印刷できるようになるまでサポートの助けが必要だったとか参考になる内容です(英語)

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