2013年2月19日火曜日

3Dモデリングせずに3Dプリントは活用できる? Makerbot CustomizerとCubify App

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Makerbot Customizer

3Dプリンターによる出力は比較的手軽に行えますが、出力に必要な3Dデータの制作は結構な知識と経験が必要になります。この点は3Dプリンターによる「ホーム3Dプリンティング、1家に1台3Dプリンター」的な議論への反論としてしばしば言及されているので、ご存知の方も多いでしょう。

3Dプリンターメーカーやその周辺もこの点は認識しています。Thingiverseのようなデータ共有サイトやAutodesk 123Dシリーズのようなコンシューマー向けアプリ、Pixil3Dのような3Dモデリング代行サービスなど、3Dプリンターのためのコンテンツを提供する様々な試みがされてきました。

もう一つの面白い試みは簡易的なモデリング機能をWebサイトを通じて提供する方法です。フル機能の3D CADソフトではなく、普通の人が手軽に使えるように機能を限定したアプリをウェブで提供するのです。こうした簡易モデリングソフトであるMakerbot Customizerと3D SystemsのCubify Appを少しだけ触ってみました。その感想を紹介します。



 1. Makerbot Customizer

Makerbot Customizerはデータ共有サイトのThingiverseに新しく搭載されたウェブアプリです。このアプリはユーザーがアップロードした3Dモデルのデータを、別のユーザーがカスタマイズできるようにします(カスタマイズしたデータは別に公開できる)。いままで完成したデータを共有する機能だけだったThingiverseですが、非常に面白いコンセプトの機能が追加されました。

MBC iphone1

Makerbot Customizer。パラメータ編集でiPhoneケースをカスタマイズできるのだが…

そこで、お約束的にiPhoneケースのカスタマイズを試してみました。なるほど確かにiPhoneの機種、ケースの厚さ、背面の幾何学模様をコントロールする事ができます! 組み合わせはかなり豊富で、時間をかければ工夫して自分だけのデザインを作る事ができるでしょう。

しかし、コンセプト的には面白いのですがアプリの出来としてはちょっと残念な感じです。

まず直感的にデザインする事が難しいです。カスタマイズ作業は画面左のパラメータを編集するだけですが、数値を変更するとデザインがどう変わるかイメージできません。パラメータでパターンの形状(三角形から円まで)、サイズ、重なり具合、傾きをコントロールできますが、パラメータの数値から直感的にどういう幾何学パターンになるか予想できる人ってあまりいない気が。

直感的なパラメータ選択が難しいとなると、変更結果を確認しながら試行錯誤するという作業になります。ところが、パラメータを編集した後の3Dモデル表示の更新が遅いです。パラメータを変更すると数十秒ぐらい画面に変更結果が反映されるのを待つ必要があります。結果、イライラしながら作業するはめに。

MBC iPhone2

パラメータを変更すると表示が更新されるまでしばらく待たなければならない。ちょっと面倒

もう一つの問題は、CustomizerでカスタマイズできるデータはOpenSCADというCADソフトで作成しなければならないという点です。CustomizerはOpenSCADの技術をベースに構築されており、他のアプリで作成したデータを使用するのは難しいと思われます。OpenSCADは無償かつ高機能な反面、コマンドラインによる操作でモデリングを行う必要があり、使いやすいとは言いがたいソフトです。そのため、Customizer対応のモデルデータが急速に充実するかは疑問です。

ただ、Makerbotもこの点を認識しているようで、OpenSCADを使ったCustomizer対応デザインのコンペを3月8日まで開催中です。商品はなんとReplicator2X。OpenSCAD使える方はぜひ参加してみては。

2. 3D Systems Cubify Apps

もう一つの簡易モデリングソフトがCubify Appsです。こちらは3D Systemsがブレスレット、指輪、ロボットといったアイテムのモデリングソフトをそれぞれ開発し、ウェブ上に公開しています。それぞれ専用アプリであり、Customizerのようにユーザーが編集可能なデータをアップロードする事はできません。

Cubifyapp1

非常に使いやすいのだが、機能もかなり限定されてしまっている

アプリの一つ、ブレスレットの作成ソフトを試してみます。インターフェイスは非常に簡単です。最初にベースとなるブレスレットのデザインを選び、次にアクセサリパーツをブレスレットにくっつけていきます。

Cubifyapp2

デザインは用意されたパーツの組み合わせで行う

アクセサリパーツの追加はマウスのクリックで可能です。ブレスレットのモデル表示もリアルタイムで反映されますし、視点変更もマウスで可能と操作性は非常に良好でした。このあたりについての完成度はCustomizerよりも優れていると言っていいと思います。

一方でベースとなるデータも追加できるアクセサリもCubify Appが提供しているものに限られており、ユーザーの自由度はあまりありません。提供されるモデルもおもちゃちっくな物ばかりという印象ですし、3Dプリンターを購入するほど魅力的かと言われると今ひとつです。

3. まとめ

コンセプトとしては面白いモデリング用ウェブアプリですが、実用性は現状まだまだのようです。これらが10万〜20万円するような3Dプリンターを消費者に買わせるほど魅力的かは疑問でしょう(そもそも各社がそれを狙っている訳ではないと思いますが)。

3Dプリンターの普及については、こうしたコンテンツ側の工夫よりも、案外モデリングスキルを持ったユーザーの増加の方が早いかもしれません。過去2DCGの世界ではパソコンの普及に伴ってPhotoshopやIllustratorといったソフトを扱えるスキルを持ったユーザーが増加していったそうです。3Dプリンターも普及価格帯に入ってきましたし、同じような事がおこるかもしれません。ただそれは「1家に1台」の3Dプリンターには直接つながらないでしょう。

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