2012年10月28日日曜日

クリス・アンダーソン「MAKERS 21世紀の産業革命が始まる」を読んだ

ようやく今日受け取れたので、午後一気に読んでしまいました。もう既に時代はここまで来ているのか、が一読後の感想です。

Cover

Makerとは、DIYで様々な物作りをする個人や少人数のグループです。しかも単なる趣味としてDIYをするのではなく、彼らは時には数ヶ月のスピードで事業を立ち上げ、成功してしまいます。「MAKER」では自身もこうした人々(Makers)の一人であるクリス・アンダーソン氏が、このムーブメントの背景と現在、そして未来について語っています。



個人的に衝撃だったのが本書で紹介されているLocal Motorsという小さな自動車メーカーです。自動車メーカーといえば、技術開発やサプライチェーン、生産ラインに資本が必要なため、ほとんど大企業というイメージですが、Local Motorsは小さな企業にもかかわらず独自に車を開発しています。もちろんエンジンやシャーシを開発することまではしていないのですが、市場から部品を調達し、ウェブのコミュニティーから技術的・デザイン的な支援を受けてrally fighterというオリジナルの車を開発・販売することに成功しています。その他にもレゴのパーツを販売するMakerなどいくつかの事例が紹介されており、既に物作りモデルの変革が始まっている事を実感します。

こうした小規模ビジネスが可能になった背景として、3Dプリンターに代表されるデジタル工作機械で試作開発が容易になったこと、個人でも部品を調達できる世界規模のサプライチェーンの発達、素人が豊富な知識とノウハウを得る事のできるオープンハードウェアのオンラインコミュニティの存在、そして事業化のために個人が低リスクで資金を調達できるKickstarterのようなクラウド・ファンディングという要素が紹介されています。注目されがちな3DプリンターやCNCフライスなどの工作機械ですが、技術的にはそれほど目新しいものではありません。むしろインターネット産業とネット上のコミュニティーの発達の方が、Makerムーブメントの直接的な要因だと著者は考えているようです。

一方、日本にはまだまだこのムーブメントは波及していないとも感じました。よく日本ではベンチャーが育たないと言われるようですが、確かに資金調達はアメリカよりも難しいと思います。あと、意外に問題かもしれないのは日本の住宅事情です。本の中のMaker達は自分のガレージや地下室で作品を作っているのですが、兎小屋と揶揄される日本の住宅(下手をすると1Kのワンルームマンションとか)ではDIYをする場所の確保って結構大変そうです。

とはいえ、従来型の製造業は新興国との厳しい競争にさらされています。そう言う意味では著者の指摘する通り、日本を含む西側先進国はMaker的な物作りへ良くも悪くも転換していくのだろうと思います。この本はそうしたデジタル・ファブリケーションの時代について理解するためのベストな1冊です。

Amazon「MAKERS 21世紀の産業革命が始まる」
http://www.amazon.co.jp/MAKERS―21世紀の産業革命が始まる-クリス・アンダーソン/dp/4140815760

(一つだけ気になったのは、この本はあまりデジタル・ファブリケーションのネガティブな可能性について触れていない事です。そうした側面について、近いうちに少し書いてみたいと思います)

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